
「知的障害」という言葉は、かつては単一の概念として捉えられがちでしたが、現在はその「原因」や「特性(重症度)」によって細かく分類して理解されるようになっています。分かりやすく整理して解説しますね。



知能指数(IQ)による分類
一般的に、発達期(18歳まで)に生じた知能機能の制約と、日常生活の適応能力に基づいて、4つの段階に分けられます。以下の表をご覧ください
| 分類 | IQの目安 | 日常生活のイメージ |
| 軽度 | 50〜70 | 抽象的な概念や複雑な計算は苦手だが、身の回りのことは自立でき、就労も可能なことが多い。 |
| 中等度 | 35〜50 | 日常会話は可能だが、金銭管理や読み書きにはサポートが必要。慣れた環境なら自立して動ける。 |
| 重度 | 20〜35 | 言語による意思疎通が限定的。食事や着替えなど、生活の多くの場面で介助が必要。 |
| 最重度 | 20以下 | 常時の介護が必要。言葉の代わりに表情や身振りで感情を伝えることが多い。 |



原因による分類
知的障害が生じる原因は多岐にわたり、大きく3つに分けられます。
❶生理的要因
特別な病気があるわけではなく、知能の分布においてたまたま境界線以下に位置する場合です。知的障害の中で最も多いタイプと言われています。
❷病理的要因
脳の形成過程や疾患が原因となるものです。
⑴染色体異常::ダウン症候群など。
⑵遺伝子異常:結節性硬化症、フェニルケトン尿症など。
⑶周産期のトラブル:出産時の低酸素脳症、極低出生体重など。
⑷)疾患:脳炎、髄膜炎、先天性代謝異常など。
❸環境的要因
⑴育った環境によるものです。
⑵深刻な虐待やネグレクト。
※「ネグレクト(Neglect)」とは、一言で言うと「育児放棄」や「放任」のことです。 子供の心身の成長や安全のために必要な保護・ケアを、親や保護者が怠ってしまう行為を指します。
「叩く」「怒鳴る」といった直接的な攻撃(虐待)とは異なり、「すべきことをしない」という形で行われるため、周囲が気づきにくいという特徴があります。
⑶極端な教育機会の欠如(ただし、現在は適切な支援があれば改善の可能性があると考えられています)。



合併症や関連する特性
知的障害は単独で現れることもありますが、他の特性と併存することも非常に多いです。
⑴自閉スペクトラム症(ASD):コミュニケーションの難しさやこだわり。
⑵注意欠陥・多動症(ADHD)::不注意や衝動性。
⑶てんかん::脳の電気信号の乱れによる発作。
⑷肢体不自由::脳性麻痺などを伴うケース。



【ポイント】 知的障害の種類を理解する上で大切なのは、「何ができないか」というラベリングではなく、「どのようなサポートがあればその人が心地よく過ごせるか」という視点です。